| 第2話 ホームレスになるのが怖かった |
決めてからスタートするまで半年かかりました。特に準備をしていたわけでもなくです。資金は公的資金を利用するつもりでしたし、始めようと思えば翌日からでも始められる状態でした。それなのに、先延ばしにしていました。どうしても踏ん切りがつかなかったのです。
しかし、ある日何気なくテレビで観た、「ホームレスから再起した起業家」が大きなヒントになったのです。
その番組を見た瞬間、サーっと全身から血の気が引きました。気づきました。独立を怖がっていた理由に。「ホームレスになる」のが怖かったのです。
今ならば、「何をそんなことを怖がっているんだ」と思うのでしょうが、当時は本当に恐ろしかったのです。でも、ホームレスになった時のことを想像してみました。幸い体は頑丈です。
「どうしようもなくなれば、肉体労働でも何でもやろう。」
それに、一度くらいホームレスになるというのも、いろいろな意味で貴重な体験かもしれない。そう考えたら、急に怖さはなくなりました。
次の瞬間、「丸裸のすってんてんになってもいいから、独立しちゃおう!」と、体の中に、しっかりと芯が根ざしました。
翌日、会社に辞表を出しました。そしてついに念願の起業を果たしたのです。
初めは営業にまわっても、ほとんど相手にされませんでしたが、覚悟していたし、当たり前だと思いました。ゼロからのスタート、失うもののない気楽さ、無から作り上げる楽しさ、毎日が無性に楽しくてしょうがありませんでした。
しかし、資金面でのピンチが、最初の冬に訪れたのです。ヤバいとは思いつつも、心のどこかでは、
「今はホームレスになるには寒いから、春まで持ちこたえよう」
などと考え、ピンチを楽しむ余裕さえありました。
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